「夕方になると商品が残ってしまう。」
「たくさん作れば売れるかもしれない。でも、売れ残れば廃棄になる。」
「品切れは避けたい。でも作りすぎるのも怖い。」
お菓子屋を営んでいると、誰もが一度はこのジレンマに直面します。
フードロスという言葉を聞くと、大量生産・大量廃棄を行う食品メーカーやコンビニを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし実際には、地域の小さなお菓子屋さんでも、毎日のように「作る量」と「売れる量」の間で悩み続けています。
「売り切れ」と「売れ残り」の狭間で
お客様の立場からすると、「夕方に行ったら欲しい商品が売り切れていた」という経験は残念なものです。
一方で、お店としては「いつ来ても商品が揃っている状態」を目指したいという思いがあります。
しかし、そのために多めに製造すると、売れ残りが発生する可能性が高くなります。
特に焼き菓子は日持ちするとはいえ、ベストな香りや食感には限りがあります。時間が経てば品質は少しずつ変化し、「おいしい状態」で提供できる期間は決して無限ではありません。
品質を大切にするお店ほど、「まだ食べられるけれど、お客様に自信を持って販売できない」という理由で廃棄を選ぶこともあります。
これは決して無駄を生みたいからではなく、お客様への誠実さを守るための判断なのです。
フードロスは利益だけでなく、環境への負荷にもつながる
お菓子一つが完成するまでには、多くの資源が使われています。
- 小麦粉やバター、卵などの原材料
- 生産者の時間と労力
- 水や電気、ガスなどのエネルギー
- 包装資材
- 製造・配送・販売に関わる人の手
もし売れ残って廃棄されてしまえば、それらすべてが十分に活かされないまま終わってしまいます。
さらに、廃棄物を処理するためにもエネルギーが必要となり、環境への負荷も生じます。
だからこそ、フードロスを減らすことは「もったいない」という気持ちだけではなく、限りある資源を大切に使うことにもつながるのです。
小さなお店だからこそできる工夫
フードロスをゼロにすることは簡単ではありません。しかし、小さなお店だからこそ柔軟に取り組める方法があります。
例えば、
- 天候や曜日ごとに製造数を調整する
- 人気商品の動きを細かく分析する
- 予約販売や取り置きを活用する
- ギフト商品は受注生産を取り入れる
- 季節限定商品で計画的に販売する
こうした積み重ねが、無駄を減らすことにつながります。
また、お客様にも「必要な分だけを丁寧につくる」という考え方を知っていただくことで、お店の想いに共感してくださる方も増えていきます。
「売り切れ」は決して悪いことではない
以前は「売り切れ=機会損失」と考えられることが多くありました。
もちろん、何もない棚ではお客様をがっかりさせてしまいます。
しかし近年では、「必要以上に作らず、おいしい状態で届けること」を大切にする考え方が広まりつつあります。
その日に焼き上げた分が売り切れることは、計画的な製造と適正な販売ができた証でもあります。
もちろん、毎日すべて売り切れるのが理想というわけではありませんが、「少し足りないくらい」が、結果として食品ロスを減らし、お店の品質を守ることにつながる場合もあります。
お客様と一緒に取り組むフードロス
フードロスの削減は、お店だけが努力するものではありません。
「予約を利用する」
「必要な分だけ購入する」
「贈り物として活用する」
「賞味期限内においしく食べる」
そんな一つひとつの行動が、お店の食品ロスを減らす力になります。
お客様が選んでくださる一つのお菓子には、生産者や作り手、販売する人たちの想いが詰まっています。
だからこそ、一つでも多くのお菓子が、おいしいまま誰かの笑顔につながってほしい。
フードロスを減らすことは、環境のためだけではありません。
作り手の想いを大切にし、お客様へ最高の状態でお菓子を届け続けるための、大切な取り組みなのです。
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